ラクガキ日記

今日も元気だ空気がうまい。旦那と2人暮らしで現在妊娠中の一般人。

最初で最期の海外旅行(その②)カルチャーショック編

f:id:apiyama-apisuke:20180529053028p:image

 

※前回からの続き。

 

島内の集落は、スラムのようだった。

 

灰色の砂地の上に、建ち並ぶ簡素な家々。小屋と言った方が近い。

実際にはただ田舎なだけで、スラムとは言わないのだが、電気ガス水道等のインフラが無く、単純に生活水準が低いのだ。

 

一言で表現するなら、

汚い。

 

こんなこと言いたくないが、

不快感極まりなかった。

 

家と家の間の迷路のような狭い道を進まねばならず、一刻も早く抜け出したいのに、道のりは思いのほか遠かった。

家から漏れ出す謎の水(たぶん水じゃない)に濡れた砂が、ビーサンを履いた足先にまとわりつく。

汚い。とにかく汚い。

途中、こちらを意に介さずバスケットボールに興じる子供らや、

ニコニコしながら「ハロー」と言ってくる子供らがいた。

みな黒く焼け、裸足でパンツ一丁だ。

とりあえず笑顔でハローと返す。

人としての道理を忘れてはならない。

 

なんとか抜けて海岸にたどり着いた。

 

 

こちら側の海岸に来た観光客は、思っていたより少なかった。

 

海岸はたしかに綺麗だったが、あの道を抜ける価値があるかと言われると微妙だった。

ヤシの実を割ってストローをさしたヤシの実ジュースも、飲んだことがある方ならわかると思うが、青くささがありあまり美味しくはない。

 

さあ、

またもと来た道を戻らねばならない。

 

自然と来た時以上に足早になる。

 

 

途中、先程ハローと言ってきた子供らが、少し人数が増えてニコニコして立っていた。

 

 

目が合う。

 

 

 

次の瞬間、

私が持っていた、ふた口分ほどの水が入ったペットボトルに、子供らが笑顔で群がって来た。

 

!!?

 

訳がわからず、

ただ「ノーノー!」と言う滑稽すぎる私。

呆然と見つめる夫。

ハッキリ言ってめちゃくちゃ怖かった。

 

子供らは私の反応などまったく意に介さず、私が握りしめたペットボトルを笑顔で引っ張り合う。

 

どうすることもできず、私はペットボトルを離した。

子供らは私に目もくれず、ペットボトルを奪い合いながら消えていった。

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。

 

私にはわかりえない、ペットボトルが必要な理由が彼らにはあるのだろう。

(出発前、貴重品を全てロッカーに預けさせられたのだが、その理由がわかった。)

 

なんとも言えない気持ち

なんとも言えない空気。

 

 

 

逃げるように、また足早に歩き出す。

 

 

一心不乱に歩き、船着き場まで戻ってきた。

ホッと胸を撫で下ろす。

 

出航まで時間があり、みな思い思いにボーっとしていた。

ふと海岸付近の桟橋の下に目をやると、大きな貝がらを持った子供が上を見上げていた。

 

目が合った。

 

まずい。

 

案の定、子供は貝がらを持ってすかさずこちらへやってきた。

買えと言っている。

ひたすら無視したが、なかなかいなくならない。

 

心を鬼にして、

キッと子供を睨みつけ、

「ノーセンキュー」と言った。

 

すると子供は諦めて、ほかの観光客へ向かって行った。

 

 

 

 

やがて、

出航の時間になった。

 

 

 

 

シュノーケリングツアーに参加して、

シュノーケリングできずに、

一生忘れられないカルチャーショックに打ちのめされることになるとは、思いもしなかった。

 

なんとも表現しがたい思いを胸に、

船はまた、荒波の中を悲鳴とともに進む。

 

 

 

 

旅はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

次回へ続く

 

[追加]

次回その③↓

https://apiyama-apisuke.hatenadiary.com/entry/2018/05/29/235818